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みなさんご存知かと存じますが、スパイスには『パウダー』と『ホール』の2種類があります。
乾燥させたスパイスを、そのままの状態で使用するものを『ホールスパイス』。
上記ホールスパイスを挽いてパウダー状にしたものを『パウダースパイス』と言います。
スパイスの種類によってホールのまま使用することの方が多いもの、パウダーの状態にして使用することの方が多いものと別れることがあります。
また、使用するスパイスの状態によって得られる効果なども異なったりします。
スパイスカレーは基本的に、ホールスパイスとパウダースパイスを用途に応じて使い分けて美味しいカレーを作り上げていきます。
ただ、パウダー状のスパイスの方が一般的には多く用いられます。
市販のカレールーにも固形のスパイスは入っていないことを考えればそれは一目瞭然ですよね。
カレーパウダーもカレーの主原料となるスパイスのパウダーを混ぜ込んだもので、それだけでカレー風味ができるようになっていたり、明らかにホールスパイスよりもパウダースパイスの方が優位性を保っているのです。
スパイスカレーでも、ホールを使わないレシピはよく見かけますが、パウダーを使わないレシピはほとんど見かけません。
同じスパイスなのに・・・
そこで僕は考えました。
「ホールスパイスのみを使用したスパイスカレーでも、しっかりスパイスカレーとして美味しくなるのだろうか」
と。
そこで今回は、パウダースパイス不使用で、ホールスパイスのみを使用したスパイスカレーを作ってみます。
※材料・作り方概要は最後へ
調理工程
今回はホールスパイスを多く含むスパイスカレーになるので、食べ応えや食感を楽しめそうなキーマカレーで作ることにしました。
スパイス以外のメインとなる材料や作り方は、以前紹介した『基本のスパイスを使った本格キーマカレーの作り方』のものとほぼ同じになります。
ただしスパイス以外の食感や香りが入ることを防ぐために、セロリは使用していません。
準備
いつも通りまずは準備から。
今回はキーマカレーということで、玉ねぎはみじん切りに。
こちらもいつも通りではありますが、玉ねぎはスライスでもみじん切りでもどっちでもいいと思っている派ですが、キーマの時はみじん切りを使用することが多いです。
また、にんにくと生姜もみじん切りにしていきます。
こちらはチューブタイプを用いることが多いのですが、ホールスパイスのみ使用したカレーってことでこれらもホールから使っていこうかなというちょっとしたこだわりです。気にしないでください。
油に香りをつける
それでは油に香りをつける工程に入っていきましょう。
フライパンに油を敷いたら、最初の段階で加熱していくホールスパイスを投入します。
せっかくなのでここでホールスパイス等の紹介を少し。
この木の皮がシナモンです。
シナモンは香りが立ってくるくらいまで加熱するとい感じす。
熱には強いスパイスだし、食べる時は取り除いてしまうので、加熱時間などはそこまで気にしなくて大丈夫です。
こちらの黒い花弁状のものがクローブです。
クローブは少しプクッと膨れてくるくらいまで。
最初はスリムな形状なんですが、まん丸っとし始めて可愛いです
こちらの緑の種状のものがカルダモンです。
カルダモンも少し膨れてくるまで。
ちょっとわかりづらいですが、まるまるっと膨れてきます。
体感クローブよりも時間んかかる感じですねー。
黒いつぶつぶしたものはブラウンマスタード。
マスタードはぱちぱちと弾けてくるまで。
この段階で投入するホールスパイスはじっくり香りを抽出するものや、比較的熱に強いものが多いです。
いい感じにスパイスを加熱できたら少し火を弱めて、にんにくと生姜を投入して弱火でまた少し加熱していきましょう。
ソースを作る
続いてソースを作る工程にいきましょう。
みじん切りにしておいた玉ねぎを投入します。
あとはいつも通り差し水を挟みつつ根気強く飴色になるまで炒めていきましょう。
玉ねぎがいい感じになってきたらトマト缶を投入してさらに炒めていきます。
こんな感じでホールスパイスを投入した後も長く炒める工程が続くので、最初に入れるホールスパイスは熱に強いものにして、焦げやすいものは最後にした方がいいのです。
具材を投入する
ペーストが出来上がったら、今回はパウダーのスパイスを使用しないので一度ここまでで終了。
ひき肉を炒めるときに出る油が個人的にあまり気持ちのいいものでないので、このペーストは一度どかして軽くフライパンをきれいにしておきます。
からのひき肉投入で加熱していきましょう。
しっかり火が通ったらペーストを元に戻して全体を馴染ませておきましょう。
煮込む
それでは水を投入して軽く煮込んでいきましょう。
正直だいぶ火は通っているので、ここは水加減の調整・塩加減の調整がメインになってくると思っても過言ではないですね。
ふつふつと煮込んだら最後のテンパリングしたスパイスをぶちかける工程に入っていきましょう。
最後の香りをつける
よくスパイスカレーにおいて香りをつけるために行うスパイスの投入は三つの段階に分けて説明されることがあります。
1つ目が本動画でも行っていた『最初に油に香りをつける工程』
2つ目が今回は行っていませんがおおよそのスパイスカレー作りで行われる『パウダースパイスを入れる工程』
そして3つ目が今から行う『テンパリングしたスパイスを最後に入れる工程』です。
油でスパイスを熱することを『テンパリング』といいますが、テンパリングして香りを抽出したスパイスを最後にぶちかけてカレーに香り付けをする工程がこちらになります。
基本的にこの工程は熱に弱いホールスパイスに対して行うことが多いです。
熱しすぎによって焦げてしまうことや香りが逃げてしまうことを防ぐためですね。
この作業はミルクパンのような小さな鍋でやるとやりやすいです。
できるだけ熱に強いスパイスから順に入れていくことが望ましいので、今回は『コリアンダー』→『ローレル』→『クミン』→『フェンネル』の順番に入れています。
焦がさないように注意しながら、しゅわしゅわと香りが立ってきたら頃合いです。
油跳ねには十分注意しながら、カレーの上に豪快にぶちかけてやりましょう。
味を整えたら完成です。
実食
今回はパウダースパイスを用いずにスパイスカレーを作ってみました。
普段パウダースパイスを入れずにスパイスカレーを作ることはないのですが、食べてみたらまあ普通においしい。
ただパウダーがないのですこしだけ水気のあるしゃばい感じのキーマカレーになってしまいました。
香りもわりとスパイスを多めに入れたこともあって、複数のスパイスから複雑な香りのするスパイシーな仕上がりにはなりました。
ホールスパイスだけなので、食べ進めていくと噛み締めるスパイスが異なるごとに表情が変わり、非常に食べていても面白いキーマカレーになったなという感じ。
ただどうしてもカレーというよりはスパイスひき肉という料理名が似合ってしまう印象。
やはり美味しいスパイスカレーを作るには、パウダーも含めたスパイスのバランスが大事なんだなと改めて実感しました。
美味しいスパイスカレーを作りたかったら、パウダースパイスに嫉妬してないでしっかりパウダーも使ってあげましょう。
材料(2人前)
- 具材・調味料
- 油 大さじ2
- 塩 小さじ1/2
- ニンニク 5g
- 生姜 5g
- 玉ねぎ 1/2個
- トマト缶 100g
- ひき肉 200g
- ホールスパイス
- カルダモンシード 4粒
- シナモン 1本
- ブラウンマスタード 小さじ1/2
- クミンシード 小さじ1
- コリアンダーシード 小さじ1
- フェンネルシード 小さじ1/2
- ローリエ 1枚
- 水 200ml
作り方
- フライパンに油とシナモン、カルダモン、クローブ、マスタードを投入し、香りが立ちマスタードが跳ねるくらいまで加熱する。
- 火を止めて生姜、ニンニクを入れ、弱火で香りが立つまで加熱する。
- 玉ねぎと塩を加え、きつね色になるまで炒める。
- トマト缶を投入し、トマトの水分を飛ばすように炒める。
- ペーストを一度どかし、ひき肉を炒める。
- ペーストを混ぜ入れ、なじんだら水を入れ軽く煮込む。
- ミルクパンなどに油とコリアンダー、ローレル、クミン、フェンネルを入れ加熱する。
- 焦げないように注意しながらしゅわしゅわと気泡ができ香りが立ってきたら6のカレーにかける。